Afuriyama under the Rain
- Doshi, in Jul
盆のころ、雨の山。山梨上野原の雨降山。雨に降られて、傘さしての山行。そこここで、きのこを見つけながらの下山。
午前八時三十分、上野駅発飯野行きのバスに乗り、登山口の初戸(はど)まで、三十分あまり。登山客はわれわれ七名ほか十人ほど。ほかに、お盆のことで、墓参の黒いワンピース、黒い帽子のおばさまたちの集まりを見かける。ーー今日のコースは、初戸から雨降山(あふりやま)、二本杉山を南に折れ曲がって、芦垣下まで。
天気はくもりで、処(ところ)により、雷雨の予報。空は少し雲があるが、雨のそぶりなく上々。登山口からは竹林のなかを登りはじめる。ゆるやかな踏み跡のしっかりした道。
樹林のなか、やわらかい光がさしこんでいる。雨で登山道は棉の入ったマットのようにやわらかく、ふみしめた足はやさしく押し返されて、自然と足が前にはね返えるようでもある。
樹林のなか、ところどころ、木漏れ日が明るく地面を照らしている。この天気、この時間で見えるものを偶然を見逃すまいと歩いているうち、先に行った仲間たちは、しばし休憩で足を留めていた。
水でも飲もうかとしていると、先頭の方にいるY林さんから黒糖の粒がまわってくる。
おととい、きのうと、雨だったせいで、苔が青青とみずみずしい。
木の肌、木の根がつるつるとしていて、雨もいいなと思う
雨や露で湿気ると、きのこの出るのはここかしこ。
あるものは気楽につきあ える茶色つぽいきのこだし、またあるものは甘美な香りのただよってくる色華やかなきのこたちである。
十一時四十七分、雨降山到着。そして昼の宴。野菜カレー、唐辛子づくしのカレー、ビールを飲み、油揚げ入り玉子を食べ、サバ味噌も食べ、ときどき芋焼酎。すっきりクリアの白麹伊佐錦に、コクのある黒麹伊佐錦。北海道帰りのY林さんから。
十二時五十分ごろ、雨が降り出す。ひるごはんがちょうど終わったころ。ほどなく出発すれば、登りはじめの予報の「くもりときどき晴れ」とはうって変わり、雨の中の下山。しばし、雨のなか、別世界になって、自分も別人になった気がする。かっぱや傘のおかげで、気分も変わる。
雨水は、登山道を滑るように流れていく。すいすい~と気分よく歩いていたら自分も滑った。からからからーんと小石が転がっていった。
山を下りたところに神社あり。御神楽を演奏する舞台のようなところで一服。少し焼酎、のち、いわしのみりん干しせんべい。雨に打たれる者から、雨を眺め、焼酎飲む人になれる。雨の降るのはたのしい。屋根のある場所で一服。そして、ときどき、傘もオッケー。
雨のなか、箱根の山
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