TRIPS TO MOUNTAINS
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#004
氷とセーラー服とスタジャン
昨日は熱海まで山登り。積雪後の間近に見る富士山を楽しみに東海道線に乗るが、雲は厚い。
思春期を過ごした戸塚の街を通過しつつ、閑散とした車内で、コーヒーを飲みながら、チョコレートを頬張る。大船で、鎌倉にゆく人たちが降りると、急に人が少なくなる。
大磯の辺りから見えてくる海に興奮しながら、隣のボックスシートに窓とのすき間から、ぐったりと窓に押しつけた青年の紺色のニット帽が見える。朝からぐったり居眠り。
通路反対側のシートには、セーラー服にサテンのスタジアムジャンパーを羽織った女子高生。日曜日の朝から制服か。運動部の応援だろうか。ジャンパーをシャリシャリ音を鳴らしながら、スマートフォンを繰って、見入っている。
※※※
玄岳、799.2メートル。相模湾と駿河湾、富士山、箱根の、眺望のある笹原に囲まれた山頂。今日は富士山は見えないが、まずまずの曇りの天気か。
※ ※ ※
山頂を下って、氷が池。
氷に亀の甲らの、ような紋様のつくくらいに氷が厚くはっているのに感動。青白く微妙な氷上のグラデーションを見せるさまは、なまめかしく、近寄りがたい。
ふと、この上に、スタジャンのセーラー服高校生とニット帽の青年を氷の上に立たせたら、シュールだろうと思い浮かぶ。それから、「ここまで330円です」と言ったバスの運転手さんにも入ってもらおう。氷の上から十センチくらい浮いていたら理想なんだが…
自然のなか、夢想は尽きない。
2018年1月
#003
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