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COLUMN #02
山へ向かう父子と日曜の朝。
「いまは、食べるのを我慢しろ」
「さっき、食べたばかりだろ」
「さっき、うどんのスープをこぼしたこと、もう忘れてるだろ。反省しろよ」
、父親と二人の小さい男の子。山に向かう電車のなかが、にわか、説教小屋となる。
「だいたい、お前はメリハリがない」
ーー「メリハリ」って、この小学校二年生に、何を期待しているのか。(このあたりから、ツッコミを入れたくなってきた)
「こんな風にだらだらとゲームばかりしているようじゃ、お父さんのスマホのゲームを全部消しちゃうからな。家でもゲーム禁止」
ーーそういうのはいいんじゃないか。
「ちゃんと約束を守れないのなら、テレビもやめちゃうか」
思えば、父親に理詰めで怒られたことなんて、自分にはなかったな。ぼくの父は怒ると、いつも、ぷいと目の前からいなくなってしまうか、黙ってしまうかだった。
※ ※ ※
「わぁ、山がスキー場みたい」
ーー二週つづきの大雪の積もった山々を見て、子どもたちの歓声が上がる。子どもたちは、説教にさらされながらも、山に向かう電車の旅を、たのしんでいるもよう。
ほどなく、終点に着き、親子は賑やかに電車を降りていった。と、座席には小さなリュックが、ファスナーの口を半分開けて置きざりになっている。
「忘れ物ですよ」ーー父親に渡して一件落着。
※ ※ ※
ホームから階段を下りて、トイレに寄って改札口に。先ほどの父子にを見かけ、
「子どもたちを、あまり、叱らないでくださいね。いい年したぼくらでも、よく忘れたりするものですし」ふと言いたかったひと言を伝える。
「ああ、ありがとうございました。でも大丈夫です。ぼくが注意するべきだったんです。大丈夫です」
ああ、もしかしたら、このお父さんも、あの男の子たちのように注意があちこちにいってしまう子どもだったのかもしれない。そう思った途端、百八十センチのがたいが急に小学生になって、傍らにいる男の子に乗り移ったようで、ああ、似た者親子かと合点した。
さすれば、説教もひとつのコミュニケーションかと思うに至った日曜の朝だった。
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